「海原」で嬉しかったこと
こんにちは。
今回は、私が所属している結社「海原」で、今年の9月号から11月号までの3ヶ月に渡って嬉しかったことを、それぞれ書いていきたいと思います。
目次
1 9月号 創刊1周年
2 10月号 「海原集」の巻頭、「海原金子兜太賞」について
3 11月号 「新作10句」、「海原新人賞」、「旧作10句」について
4 おわりに
1 9月号 創刊1周年
2019年9月号で、『海原』は創刊1周年を迎えました。
去年の9月に創刊号が出てからもう1年が過ぎたわけです。この1年間、自分にとってはとても長く感じられました。毎月毎月どんな句を送ろうか、一生懸命に考えています。
ちなみに以前このブログに、創刊号について、またそもそも「海原」がどのような結社なのかということについて書いたことがあるので、もしよければそちらもお読みください。m(_ _)m
また、「海原」の公式ウェブサイトはこちらです。
2 10月号 「海原集」の巻頭、「海原金子兜太賞」について
今年の8月中旬、「海原集」(会員の作品欄)選者であり、『海原』発行人でもある武田伸一さんから、こんなお手紙をいただきました。
(前略)早速ですが、あなたの作品が「海原」10月号の《海原集》にて巻頭を飾ることになりました。おめでとうございます。日頃のご努力の賜物にて心よりお祝い申し上げます。
また、巻頭を獲得した作者に「新作10句と短文」を発表する場を設け、《海原集》投句者に励みと喜びを持たせる企画として、旧「海程」と同様に、この企画を後継誌「海原」でも継続してやっていくことになりました。(後略)
自分の身にはもったいないほどの言葉をいただき、お手紙を読んだ直後の私は嬉しさどころか「巻頭に載る」という実感もわきませんでした。
しかし、実際に10月号が届き、自分の句が巻頭に載っているのを見てようやく嬉しさが実感出来ました。
その句というのがこちらです。
あめんぼや鏡のなかってきゅうくつ リュウジ
青嵐修司とハツは同じ墓
どくだみの花よ思わず消すニュース
素描という孤独な時間紀音夫の忌
写真を見ていただいても分かるように、下に〇が付いてある句は、武田さんから特に佳作と選んでいただいたものです。
ちなみに、10月号の句なのに夏の季語が使われているのは、『海原』には投句から掲載まで4ヶ月のズレがあるからです。つまり、私はこれらの句を実際は6月に送っています。
「海原」に入会したときから「海原集の巻頭に載る」ということは自分のなかの大きな目標の1つだったので、それが叶った達成感は大きかったです。
また、この10月号では「海原金子兜太賞」の結果も発表されていました。「海原金子兜太賞」とは、同人・会員の区別なく「海原」に所属していれば誰でも応募できる賞です。
応募要項は新作30句。私も6月20日の締切まであれこれ悩んで、「心音」というタイトルでどうにかまとめました。
しかし、結果から言えば私は受賞出来ませんでした。もちろん悔しかったです。しかし、「これから自分はどういう俳句を書いていきたいか」という感触のようなものは少しですがつかめた気がします。
3 11月号 「新作10句」、「海原新人賞」、「旧作10句」について
巻頭に載った俳句の作者は、先に引いた武田さんからのお手紙にも書いてありましたが、その来月号に「新作10句と短文」を発表する機会をいただきます。
私の場合、お手紙をいただいたのが8月中旬、「新作10句と短文」の締切が9月中旬だったので、どなたにもお手紙をお送りしてから約1ヶ月後を締切としているのだと思います。
そして、約1ヶ月間私なりに考えてまとめた「新作10句」はこちらです。
夏蝶
夏蝶のしずかに拾う誤字脱字
風鈴や名前の決まる赤ん坊
白猫は白をのこして片蔭へ
遠雷やふいに切手の味を知る
一言で足りる伝言ほたる草
水となるすんでの風が十六夜に
冬かもめ微熱の夢に降りてくる
クリスマス素数かぞえている子ども
立春や飛行機雲は交わって
少女らの耳は三角風光る
この10句と合わせて「短文」も載せていただいたのですが、そちらはあまりに拙いのでお見せ出来ません・・・(苦笑)
また、この11月号では「海原新人賞」の結果も発表されていました。「海原新人賞」は先に書いた「海原金子兜太賞」とは別の賞です。
「海原新人賞」は、会員のみを対象にした賞で、創刊号から2019年7・8月合併号(第10号)までにそれぞれの会員が投句した句の評価等から決められます。この賞を受賞した会員は同人になることが出来ます。
そして、この賞も私は受賞出来ませんでした・・・。このことも悔しかったです。
しかし、「有力候補者」(自分でこう言うのは恥ずかしいですが)の10人のうちの1人に選んでいただきました。ちなみに、私の最終的な順位は10人中4位でした。
審査員のなかには私を1位に推してくださった方もいらっしゃいました。そうした審査員の方々の選考感想を読むと私の句をどの方も丁寧に読んでいただいていることが分かり、その意味では非常に嬉しかったです。
また、その10人のうちの1人に選んでいただいたことと合わせ、「『海原』にこれまで発表した句から10句選んでまとめてください」というご依頼もいただきました。言い換えれば「旧作10句」のご依頼でした。
これも最初のご依頼から締め切りまで約1ヶ月くらいだったと思います。
結果的に、その「旧作10句」をまとめ、私は「手紙」とタイトルを付けました。
手紙
初雪やまつげ一本ずつ描く
話すこと話さないこと龍の玉
読みさしの岩波文庫鶴眠る
本当は知っていましたふきのとう
青き踏む証明写真撮る顔で
少しずつ慣れるあだ名やライラック
聖五月フルマラソンの女子生徒
古書店の百円ワゴンすべりひゆ
耳打ちのようだ訃報も残照も
天高しすこし長めの手紙出す
4 おわりに
このように、今年の9月から11月までの3ヶ月間は、
・創刊1周年
・「海原集」の巻頭
・「海原金子兜太賞」
・「新作10句」
・「海原新人賞」
・「旧作10句」
といった大きな出来事が続き、自分の句がどのように評価されているか(或いはされていないか)、これから自分はどういう俳句を書いていきたいかといったことを真剣に考えざるを得ない期間でした。その意味で、自分にとってとても有意義であり、繰り返すように嬉しかった期間でした。
来年も「海原金子兜太賞」には応募するつもりですし、「海原新人賞」の選考に於いてより多くの審査員の方の目に留めていただけるような句を書いていくつもりです。
そして、その第一歩として、今月の「海原集」に良い句を送りたいと思います!