間村俊一さんの装幀展「ボヴァリー夫人の庭」に行ってきました!
こんにちは。
11月7日(水)に間村俊一さんの装幀展「ボヴァリー夫人の庭」に行ってきました。
私が初めて間村俊一さんのお名前を知ったのは『攝津幸彦選集』という本の装幀でした。
「ポセイドン」という題のご自身によるコラージュと、書名のロゴの銀と黒との色遣いに一発で「カッコいい!」と心惹かれました。
その後も、『安井浩司選句集』、『齋藤愼爾全句集』、塚本靑史『わが父塚本邦雄』等、間村さんの装幀された本を手に取っては、その度に「カッコいいなぁ」と感じていました。
いま名前をあげた本からなんとなく分かるかも知れませんが、間村さんは装幀家であると同時に俳句作家でもあります。ご自身も『鶴の鬱』『跋辨天(ぬけべんてん)』という2冊の句集を上梓されています。もちろん、ご自身の句集の装幀もご自身でされています。
そもそも、この装幀展は『彼方の本 間村俊一の仕事』という本の上梓を記念して開催されたものです。『彼方の本』は、これまで間村さんの手掛けた装幀の紹介、装幀にまつわるエッセイ、『跋辨天』以降の約100句・・・等が収録された盛り沢山な本です。
また、詳しくは後述しますが、今回の装幀展では間村さんとゲストの方2名によるトークイベントもあったので、私にとっては憧れの装幀家・俳句作家の方と実際にお会い出来る機会でした。
装幀展の会場は根岸にある「そら塾」という古民家を改装したギャラリー。鶯谷駅の南口から歩いて5分のところにあります。
「そら塾」公式サイト→(
http://sorajyuku.ciao.jp/)
少し話は変わりますが、実は私、先月iPhoneからauのガラケーに機種変更しまして、インターネットとかGmailはすべてパソコンを使っています。(この記事もパソコンで書
いています)
そのため、前日に「そら塾」の公式サイトにある地図と、Yahoo!乗り換えとをプリントアウトしなければなりませんでした。
ガラケーに変えた理由は仕事では電話しか使わないからと、大した用もないのにスマホをいじってしまうことが時間的にも経済的にももったいないと感じたからです。
ただ、方向音痴な私にとって「外出先で地図が調べられない」ということは不安ではありました・・・。そして、この日はそんな不安と初めて向き合う日でした・・・。(少し大袈裟)
ただ、結果として少し迷いましたが、無事に辿り着けたので良かったです(^^)v
話を戻します。実際に着いた「そら塾」の外観は、事前にネットで見た通り昭和らしい雰囲気がたっぷりと漂う古民家でした。
受付でトークイベントの参加費2000円を払います。ドリンク代込みの値段だったので、缶チューハイを選びました。
そして、なかに入ると1階・2階ともにところ狭しと並べられた間村さんが装幀された本・本・本!カッコいい装幀の本が並んでいる様に圧倒されてしまいました。
ちなみに、古民家を改装してあるので入り口では靴を脱ぎます。また、二階は畳張りになっていて、「こんな部屋でゴロゴロ出来たら気持ちいいだろうなぁ」と思いました。(もちろんしませんでしたが)
展示を見てしばらくすると、先に書いたトークイベントが始まりました。
このイベントは「三つ巴バトルトーク」と称され、開催期間中に何回か行われました。日によってゲストが違ったのですが、私が行った日は間村さんの他、俳句作家の小澤實さん、俳句作家・詩人の高橋睦郎さんがゲストでした。
少しぶれてしまっていますが、左から小澤さん、高橋さん、間村さん。
トークの内容は、まず『彼方の本』上梓までの様々な苦労について。本の構想が最初に予定していたものよりどんどん膨らんで、最終的に完成したのは出版記念パーティーの直前だったそうです。
次に、これまでのお仕事で知り合った方との交友関係について。間村さんの交友関係が高橋さんの交友関係と重なっている部分もあり、それぞれの思い出を話されていました。また、高橋さんの口から澁澤龍彦や種村季弘といった私のなかでは「伝説」になっている人物の名前が自然に出ていたことに驚きました。他には、好きな画家の一人である美濃瓢吾(みの・ひょうご)の名前が出てきたことも嬉しかったです。
また、このトークイベントに合わせて小澤さんが『彼方の本』に収録されている句から33句を選び、資料として参加された方に配布されました。
そのなかから、私が特に印象的だった句を以下に引きます。トークのなかで間村さんはご自身の句を「妄想句」と仰っていて、また高橋さんも「間村さんの句は奇想句だよね」と仰っていましたが、小澤さんの選んだ句を拝読すると、「なるほど」と肯けました。
宮澤賢治全集
ジョバンニよ母待つ天の川の家
しぐるゝやさしすせシモン左門町
光文社文庫版江戸川亂歩全集
明智くん、うまく化けたね猫じやらし
齋藤愼爾さん
蛍袋に亡父幽閉して五年
谷崎潤一郎と異国の言語
春深し卍に開く人の妻
また、トークイベントのあとは間村さんによる『彼方の本』のサイン会が行われました。間村さんはサインの他、ご自身の句の揮毫もされていました。
私がいただいたサインと揮毫はこちら。
木村リュウジ様 名月やかなふ福助出かけて留守 俊一(ま) YAMANEKO-KEN
揮毫されるための句は何種類か用意していたようで、ある方は
ブエノスアイレスに初蝶見失ふ
と書いていただいていました。この句も良いなぁ。
そんな感じで、装幀展とトークイベントは楽しく幕を閉じました。
先に書いたように、この日のトークイベントには小澤實さんがゲストのお一人としていらっしゃっていました。そのため、会場には小澤さんが主宰を務められている俳句結社「澤」の方が多くいらっしゃいました。
というワケで、装幀展の終了後に急遽「澤」の皆さんにご飯へ連れていっていただくことになりました。
ご飯をいただきながら、「澤」の皆さんと色んなお話をしました。
特に、私がいままで外側から感じていた「澤」や小澤さんについてのイメージと、実際に同人として内側から感じるイメージとの違いとを知れたことが良かったです。
また、私の所属する「海原」と「澤」とで結社は違っても、俳句に対する熱意は同じということを確認出来たことも嬉しかったです。
ちなみに、この日の翌日、ご飯の席でTwitterのアカウントを交換した方から、下北沢で行われている「澤」の句会への案内をGmailでいただきました。小澤さんに直接自分の俳句を見ていただける句会なので、なるべく早いうちに参加させていただきたいです。
というワケで、間村さんの装幀の世界も堪能出来て、間村さん、高橋さん、小澤さんによる貴重なお話も聞けて、「澤」の皆さんとの新しい俳縁も生まれてといった、大満足の展覧会でした。本当に行って良かったです!(*^▽^*)