あたまのなかで

よろしくお願いします。神経症患者としてではなく、ひとりの人間として。俳句が好きです。Twitter→(https://twitter.com/ryuji_haiku)

診察記録 2018年10月②

こんばんは。

 

もう先月の話になってしまいましたが、10月31日(水)に埼玉医科大学病院に診察に行ってきました。

 

まず今回報告したいのは、薬の量について。

 

前回の診察記録(

https://ryjkmr1.hatenablog.com/entry/2018/10/10/110315)で、先生が「睡眠導入剤の量を2錠から1錠に減らしても良い」と仰ってくれました。

 

しかし、実際はいまに至るまで、2錠服まないと眠れない日が続いています。

 

そのことを先生に話し、これからも睡眠導入剤の量は2錠で処方してもらうことになりました。

 

ただ、その代わり(?)として、頓服薬の処方を失くしてもらえました!(*^▽^*)

 

今年の5月からロラゼパム錠「サワイ」0.5mgを、7月からは「サワイ」に加えて「レキソタン錠」5mgの計2種類の抗不安剤を、いままで頓服薬として服んでいました。

 

しかし、最近は気分の落ち込みも少なく、実際に前回の診察から今回の診察まで、頓服薬をまったく服まずにいられたので、思い切って処方を失くしてもらうことにしました。

 

まだ抗不安剤そのものは1日4回服んでいますが、それでも今回の減薬は寛解に近づいた気がして嬉しいです。

 

心の病は変動が激しいので、正直この状態がいつまで続くかは分かりません。でも、出来るだけ長く続けたいです。

 

次に、今回の減薬が出来た大きな理由としては、これも前回の診察記録で書きましたが、いまの仕事が問題なく続けていられるからだと思います。

 

たまに仕事相手からの心無い一言があったり(たぶん向こう側には、そこまでの悪気は無いでしょうが)、覚えるのが難しい仕事もありますが、それでも続けられています。

 

ちなみに、前回の診察記録で

 

「以前就いていた運送会社の事務の仕事は、始めてから約1ヶ月で人間関係で神経をすり減らした末に仕事に行けなくなり、無断欠勤を何日か続けた結果退職してしまったので、『1ヶ月目立った問題がなく続けられた』ということは自分のなかで1つの達成感がある」

 

といったことを書きましたが、一昨日で入社してから2ヶ月を迎えました。このまま3ヶ月、4ヶ月と働き続けることが出来たら良いと思います。

 

最後に、これも前回の診察記録で触れた障害者手帳と障害者年金について。

 

前回の診察で自分のなかの疑問点は解消されました。

 

しかし、申請に約1万円掛かることや、いま私が利用している自立支援医療制度よりも認定されるのが難しい(つまり、認定されないと約1万円が無駄になってしまう)ことを考えて、まだ迷っています。

 

まぁ、急ぐ問題ではないので、もう少し考えて結論を出そうと思います。

 

とりあえずいまは、減薬を喜びたいです(^_^)

 

現在の薬の状況です。

抗不安剤 ロラゼパム錠「サワイ」 0.5mg 1日4回
睡眠導入剤 ブロチゾラム錠「サワイ」 0.25mg 1日2回(就寝前)

 

次回の診察は11月28日(水)を予定しています。

 

 

 

ブログの更新ペースが遅くなります

 

こんにちは。

 

いつもこのブログを読んでいただきありがとうございます。

 

先ほど更新した「中山うりさんのライブに行ってきました!②」で、今月に書きたいことはほとんど書き終わりました。

 

先ほど更新した記事→(https://ryjkmr1.hatenablog.com/entry/2018/10/25/143330

 

それで、11月からはブログの更新ペースが少し遅くなると思います。

 

理由は色々あって、一言では説明出来ません。

 

ただ、深刻な理由ではないので心配しないでください。

 

毎月の診察記録も更新していきます。

 

あいまいな書き方しか出来ずにごめんなさい。そして、これからもよろしくお願いします。

 

中山うりさんのライブに行ってきました!②

 

こんにちは。

 

昨日は、中山うりさんのライブに行ってきました。セットリストと合わせてその様子を書いていきます。

 

うりさんのライブに行くのは今年の8月に続いて2回目です。

 

ちなみに、初めてライブに行ったときの感想はこちらの記事に書いてあるので、よければお読みください m(_ _)m→

https://ryjkmr1.hatenablog.com/entry/2018/08/11/230746

 

昨日のライブ会場は、代官山にあるカフェ・レストラン「WEEKEND GARAGE TOKYO」。私は恵比寿駅で降りてお店まで行きました。

 

「WEEKEND GARAGE TOKYO」公式サイト→(http://weekendgaragetokyo.jp/

 

お店の外観はこんな感じ。

 

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とてもオシャレな雰囲気です。

 

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ブラックボードにライブの案内が書いてありました。

 

ライブは開場18時半、開演19時半でした。お店に着いたのは18時15分くらいだったと思います。

 

お店の中も外観と同じように、オシャレな雰囲気でした。テーブルは長方形のものと円形のものがあって、どちらもゆったりとした椅子が囲んでいます。(長方形のテーブルにあったのはソファーだったかな?)

 

また、壁はコンクリートの打ちっぱなしで、自転車が飾られていました。レコードとかが並べてある棚もあったと思います。

 

昨日のライブはワンドリンク・ワンフードを注文することになっていたので、財布と相談した結果、フレンチフライドポテト(アンチョビソースかけ)とキリン一番搾りを注文。どちらもお店で一番安いメニューです(笑)

 

 

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正直、これだけじゃ足りないかなと思っていましたが、実際にフライドポテトを食べてみると満腹感がありました。アンチョビソースはニンニクの味がして美味しかったです。

 

だいたいフライドポテトを食べ終わり、ビールも呑み終わった頃にライブが始まりました。ちょうど良いタイミングでした。

 

ちなみに今回の席もテーブルをひとつくらい挟んで、うりさんの近くでした。

 

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真ん中のマイクがうりさんの歌うマイク。

 

そして、これが昨日のライブのセットリストです。(ツアーライブかどうか分からないので、同じ選曲ではやらないのかも知れませんが、一応ネタバレ注意

 

第一部

1.よいよいまほろ

2.寝ても覚めても

3.茶をすする

4.時々ドキドキ

5.青春おじいさん

6.プーアールママ

7.大佐

8.夢ノイリグチ

 

第二部
9.カゲロウガール

10.メロンソーダさくらん

11.風邪薬

12.石鹸水

13.ラムネの午後

14.月とラクダの夢を見た

15.南国タクシー

16.マドロス横丁

17.回転木馬に僕と猫

 

アンコール
18.窓際のトランペット

19.僕じゃない

 

特に印象的だった曲を順番に挙げていきます。

 

第一部

 

・茶をすする

 

8月のライブで初めて演奏してくれた曲。その時には「私にとっては珍しく和風なイメージで作った曲です」と話されていました。でも昨日のライブでは「私も30歳を過ぎてようやくコーヒーが飲めるようになったんですけど・・・」とコーヒーの話から歌に入っていました。

 

30歳を過ぎてコーヒーを飲めるようになったというお話にはビックリしました。ちなみに、それまでは「黒くて苦い汁」だと思っていたそうです。汁、って(笑)

 

曲としては、ゆったりとしたテンポの曲。日常のなんでもないことから世界観が広がっていく、最近のうりさんが多く作っている感じの曲です。

 

・時々ドキドキ

 

軽やかな感じの曲。YouTube中山うりさんの公式チャンネルがあるのですが、そこにあげられているこの曲のPVがとても素敵です。うりさんのちょっと怪しい感じが可愛いです(笑)

 

「時々ドキドキ」PV→(https://youtu.be/CMf0sCsutE8

 

・青春おじいさん

 

オリエンタルな曲調の曲です。ライブでこの曲が始まったときの迫力はスゴいです。すべての音が一気に「ジャーン!」と鳴ります。こちらも公式チャンネルにPVがあるので、観てほしいです。土屋萌児氏による凝ったアニメーションのPVです。

 

「青春おじいさん」PV→(https://youtu.be/GojxmMi2TvI

 

・プーアールママ

 

最新アルバムカルデラに収録されている曲。8月のライブで詳しい感想を書いたので今回は省きますが、やっぱり歌詞のなかで中華料理の名前が次々と出てくる部分は聴いていて楽しいですね。

 

第二部

 

・メロンソーダさくらん

 

カルデラ」収録曲。8月のライブで初めて聴いて「この人はスゴい!」と一発で心を持っていかれた曲。自分が知っているうりさんの曲のなかで、トップレベルに好きな曲です。自分にとっての夏のテーマソングとも言えます。

 

・風邪薬

 

「茶をすする」と同じく、8月のライブで初めて演奏してくれた曲。「メロンソーダさくらんぼ」の次くらいに好きな曲です。

 

「風邪ひいて 横になって

ロクでもないこと考える」

 

という歌い出しから、風邪を引いているときのボンヤリとした気分のような空想が広がっていきます。

 

「許せないと 悲しくなる

オリオン座を ぬけていく

宇宙飛行士の夢を見る」

 

ここの歌詞とか、最高です。

 

それから、曲の合間合間に入る

 

「♪あ〜ぁ 気持ちが良いもんだ」

 

という伸びやかな、それでいて気が抜けた感じのサビもとても良いです。

 

まだ音源化はされていないんですが、次のアルバムくらいに「茶をすする」と一緒に収録されると思います。もし収録されたら買います。いや、収録されていなくてもうりさんのニューアルバムというだけで買います(笑)

 

・南国タクシー

 

カルデラ」収録曲。インストゥルメンタルの曲なんですが、ライブで聴くとうりさんをはじめとするバンドメンバーの演奏力の高さに圧倒されます。結構速い曲なんですが、手元が狂わずに演奏しているのを観ると改めて「プロだなぁ」と思います。特に、ピアノの小林創さんの演奏は、ちょっと絶句するくらいスゴかったです。敢えて言葉を選ばずに言えば、化け物じみていました。

 

回転木馬に僕と猫

 

そもそも私がうりさんのことを知ったのは、NHKの「みんなのうた」でこの曲が流れていたからです。この曲の幻想的であり、切なくもある世界観に惹かれました。多分うりさんの曲のなかで一番多く聴いていると思います。

だから、この曲をライブで聴けたのはとても感慨深かったです。

うりさんの代表曲と言えるでしょうから、会場全体が一体となって聴いている感じが特に伝わってきました。

 

ここでライブは終了。しかし、アンコールの拍手は鳴り止みません。しばらくしてうりさんとバンドメンバーが再登場。会場はさらに大きな拍手に包まれました。

 

・窓際のトランペット

 

これもまだ音源化はされていません。夏の甲子園で野球部を応援する吹奏楽部のことを表現した曲。うりさんも実際に学生時代は吹奏楽部に所属していて「甲子園の決勝ではないけれど、その予選大会で演奏したことがある」といったことを話されていました。

この曲の魅力としては明るいメロディとか色々あるんですが、最大の魅力は終盤のうりさんによるトランペットソロです。それまで歌詞から想像していた甲子園での吹奏楽部の演奏が実際に聴こえてくるような、高らかなトランペットの音色に圧倒されました。

 

・・・というワケで、アンコールを含めて全19曲、約2時間でライブは終わりました。8月と同様、今回も大満足のライブでした。

 

やっぱり好きなミュージシャンのライブって良いなと思います。元気をもらえますからね。

 

また機会があったら聴きにいこうと思います!(#⌒▽⌒#)

 

ちなみに・・・。これはライブからの帰り際、お店でもらったフリスク「ストロベリーミント味」。どんな味か名前からは想像が出来ませんでしたが、実際に噛んでみるといちごの甘さとミントのさわやかさとが合わさって美味しかったです。

 

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「LOTUS」の句会に行ってきました!

 

こんばんは。

 

昨日は俳句同人誌「LOTUS」の句会に参加させていただきました。案の定長くなるので、目次付きでお読みください。

 

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『LOTUS』第39号(最新号)。特集は「古田嘉彦句集『展翅板』評」と「無時空映作品評」。

 

目次

 

1.句会に参加させていただいた理由

 

2.句会までの流れ

 

3.句会当日の様子

 

4.懇親会

 

1.句会に参加させていただいた理由

 

私が「LOTUS」の句会に参加させていただきたいと思った大きな理由は、同人である九堂夜想(くどう・やそう)さんと酒卷英一郞さんの作品に惹かれたからです。

 

まず、九堂さんの俳句を『LOTUS』第39号から何句か引いてみます。

 

我空とやみな蛇の香に酔いやすし

 

月餐やながるる琴のみな無弦

 

「我空」(がくう)とは仏教の言葉で、人間の体や心は因縁によって生成した仮のものであり、永久不変の我がそこにあるのではないという意味。

「月餐」とは、「げっさん」と読めば良いのでしょうか。こうした熟語は無く、九堂さんの造語だと思います。「餐」には飲食することや、ごちそうといった意味があるので、月の世界で開かれる宴のようなものを想像します。

 

・・・というふうに言葉の意味を解説していますが、九堂さんの句を鑑賞する上でこうした解説はあまり有効ではないと思います。

 

例えば1句目の「みな蛇の香に酔いやすし」とはどういうことでしょう。「蛇の香」という言葉からどのようなイメージを持つでしょう。毒?誘惑?欲望?

それから「酔いやすし」という言葉からは普段とは違った状態になることはイメージ出来ますが、さらに深めていけば人によってそのイメージは違ってくると思います。

欲望の権化になってしまったのか? 狂ってしまったのか? 死んでしまったのか?

そして、「みな蛇の香に酔いやすし」と書かれているということは、そうした欲望や誘惑から人は逃げられないということだろうか?

 

また、2句目の「琴のみな無弦」という表現からは、「琴の弦が無い」ということは通常に考えて音が出ませんが、「むげん」の音が「無限」を連想させて、むしろどのような音でも出せる琴を想像させます。

 

このように九堂さんの俳句は、現代的に解説された言葉の意味ではなく、古代から持つ言葉のイメージを鑑賞するものです。

私にとって九堂さんの句は、文字を読むより絵を観る(さらに言えば絵巻を観る)感覚に近いです。例えば、百鬼夜行絵巻の鬼神たちの姿から、彼らがどのような鬼神なのか想像する感覚です。

 

次に酒卷英一郞さんの俳句を同じく『LOTUS』第39号から引いてみます。

 

大片の

たびら雪なり

うつつなも

 

養花天

この花先の

鼻曇り

 

酒卷さんの俳句の特長としてまず挙げられるのは一行表記ではなく三行表記であること。三行で俳句が書かれることで、句のなかの言葉がより浮き立つという効果があると思います。

 

例えば、1句目の

 

大片の

たびら雪なり

うつつなも

 

ですが、「大片」とは大きく切り分けられたさま。「たびら雪」とは春になって、気温が上がってから降る雪です。

また、「うつつ」とは現実のこと。「〜なも」とは古語で、「〜てほしい」「〜てもらいたい」(願望)「〜ているだろう」(現在の推量)といった意味があります。

 

古語は不勉強なので確かなことは言えませんが、この句の場合「現実であってほしい」という意味になるでしょうか。

 

句の全体を訳すと

 

大きく切り分けられた

春の雪である

現実であってほしい

 

という意味になるでしょうか。

 

この句が三行表記であることで、春の雪が降っている空の広さや、その雪を見て「現実であってほしい」と思うほどに圧倒されている人物の姿(どこか広い場所に一人でいるような気がします)、そしてなにより春の雪の妖しさを含んだ美しさが、言葉が浮き立つと同時に伝わってきます。

 

また、2句目は掛け言葉的な要素が強い句です。「花先」は「鼻先」、「鼻曇り」は「花曇り」と一般的に書かれますが、この句では「はな」という二つの言葉を敢えて逆に表記しています。やはりここでも三行表記による言葉の浮き立ちが効果的です。

 

「養花天」とは桜が咲く頃の曇り空のことで、春の季語になっています。「花曇り」とも言います。

 

つまり、この句では養花天の下、自分のすぐ先に花があるのに、「鼻が曇っていて」その香りに気付かない人物の姿が書かれています。その姿が表記の入れ替えと合わさってユーモラスに感じられます。

 

九堂さんと酒卷さんの句は、作風が大きく違いますが、どちらも言葉によって句の世界感を作っていくという点では大きく共通していると思います。

 

私は、俳句の美しさや季語の美しさは日本語が長い時間をかけて作り上げてきたものだと考えています。しかし、その長い時間のなかでいつの間にか付け加えられた「俳句はこうあるべき」「季語はこうあるべき」という決まりに、若干の息苦しさを感じてもいました。

 

私にとって、九堂さんや酒卷さんは実際に俳句を書くことでそうした息苦しさを打破しているように見えました。

 

そうしたことから、実際に句会に参加して、お二人とお会いしてお話を聞いてみたい、またお二人以外の「LOTUS」の同人の方ともお会いしたいと思うようになりました。

 

2.句会までの流れ

 

「LOTUS」の句会までの流れは以下の通りです。

まず、当日の1ヶ月前までに句を投句します。その後、メールや郵便で今回の俳句一覧が送られます。

それをもとに自分が良いと思った句を3句選び、講評も書きます。また、それ以外でも気になったいくつかの句の講評を書きます。その選句と講評とを当日までに送り、句会に臨みます。

 

投句の締め切りが1週間前くらいの句会や、当日に投句する句会もあるので、それと比べると「LOTUS」の句会はかなり締め切りが早いです。

 

これは、「LOTUS」のブログに「『LOTUS』は句会および批評活動を通して〈詩〉としての俳句の可能性を追求する現代俳句グループです。」と書いてあることと関係していると思います。

例えば、先に書いたような九堂さんの句や酒卷さんの句を、当日いきなり見せられて解釈することは非常に難しいです。自分の分からない言葉を調べたり、その上でそれぞれの句に対する自分の解釈を作り上げたりする必要があります。投句の締め切りから句会当日までの1ヶ月という時間は、そうした解釈を深めるためにあるのだと思います。

 

また、選句だけではなく講評を書いて送るのはやはり解釈を深めるためという理由がありますが、その他に当日参加出来なかった方の評を代読することで句会のなかで共有するためという理由もあります。

 

この投句の締め切りの早さからは、そうした「LOTUS」のストイックさを感じました。

 

3.句会当日の様子

 

前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、そうした思いで今回の句会に参加しました。

 

句会の会場は王子駅からすぐ近くの複合文化施設北とぴあ

 

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北とぴあ。大きいです。

 

北とぴあの8階にある会議室で句会は行われました。参加人数は私を含めて10人と少しでした。

ちなみに、会議室に入って驚いたのは、広い部屋のなかにまるで政治家が座るような大きい革張りのソファーが、楕円形の大きなテーブルを囲んで並べてあったこと。酒卷さんは「他の部屋は普通の会議室なんですが、何故かこの部屋だけこんなに立派なんですよ」と仰いました。

 

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立派だった801会議室の入り口。「LOTUSの会」と書かれてあります。

 

今回私が投句した句は次の3句です。

 

言語野の

端ばかり見て

秋の暮

 

はらからの

そのははからの

波羅蜜多

 

枯尾花

或る辭失くして

揺れ止まぬ

 

また、選句した句ですが、その作者の方の了解を取ったわけではないのでこのブログには載せられません。すみません。

 

少し見て分かるように、三行表記の俳句を書いてみました。言うまでもなく酒卷さんに憧れてのことです。

また、いま私が所属している「海原」では一行表記が前提なので、せっかくなら「海原」で出来ないことをやってみたかったという思いもありました。

 

私は、今回の句会は、初めて三行表記を書いてみて、それを酒卷さんをはじめとする同人の方に見てもらえば参加させていただいた意義があり、無点句でも仕方ないとも思っていました。

 

しかし、結果として

 

言語野の

端ばかり見て

秋の暮

 

の句が4点をいただき、最高得点タイになりました。

 

しかも、その選んでいただいた方のお一人には酒卷さんもいらっしゃいました。自分が憧れていた方から選をいただけたのです。

 

そして、「最高得点タイ」と書いていますが、この日の最高得点者のお一人にいらっしゃったのも酒卷さんでした。つまり、得点だけで言えば、酒卷さんの句に私の句が並んだことになります。(得点だけで言えば、ですよ)

 

このように、最高得点タイをいただき、酒卷さんにも選んでいただき、得点で酒卷さんに並ぶという、良いことづくめの句会でした。非常に驚きましたし、嬉しかったです。

 

全体的な句会の雰囲気を言えば、やはりストイックさを感じました。

「LOTUS」の句会には一行表記だけでなく、酒卷さんのような三行表記、また四行表記の句もあるので、三行或いは四行で書いた意図についても議論します。多くの結社や同人誌が一行表記を前提としているので、そのぶん議論の幅が広いと思いました。

 

このようにして、非常に有意義な句会を体験出来ました。

 

4.懇親会

 

句会が終わった後は、近くの居酒屋で懇親会がありました。

懇親会では、何人かの方から俳句を書き始めたきっかけや、好きな俳句作家について訊かれました。また、多行表記についてどう思っているのか、そうした多行表記のなかでもなぜ三行表記で俳句を書こうと思ったのかということも訊かれました。

 

逆に、私がお聞きした話で印象的だったのは九堂さんからのお話です。書くのが遅くなってしまいましたが、九堂さんは「海原」の前身である「海程」にかつて所属していました。そのため、私が日頃「海原」の句会でお世話になっている方についての色々なお話を「暴露」していただきました(笑)

 

また、九堂さんと酒卷さんとに揮毫を書いていただき、ツーショットを撮っていただけたことも嬉しかったです。私のお願いに対して、お二人とも快く引き受けてくださいました。ありがとうございました。

 

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『LOTUS』第39号の裏表紙に書いていただいた九堂さんの揮毫。

 

放く(さく)ころを天寂として蝶の道    夜想

 

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九堂さんとのツーショット。九堂さんはイケメンかつイケボな方でした。

 

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『LOTUS』第35号(酒卷さんの特集号)の裏表紙に書いていただいた酒卷さんの揮毫。

 

英桃

端から座五を

空けて待つ    英一郞

 

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酒卷さんとのツーショット。酒卷さんの句に使われている言葉は難しいものが多く、そこからなんとなく「ご本人も気難しい方だったらどうしよう」と思ってしまっていましたが、実際にお会いするととても気さくな方でした。

 

また、句集や俳誌もたくさんいただきました。重ねてありがとうございました。

 

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九堂さんからいただいた『海程多摩』第8集・第12集、『LOTUS』第39号。

 

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酒卷さんからいただいた安井浩司の評論集『海辺のアポリア』と、句集『空なる芭蕉』『宇宙開』『烏律律(うりつりつ)』。

 

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四行表記の俳句を書かれている上田玄さんからいただいた句集『暗夜口碑』

 

遺髪あり

漂う雲の

翳は

宿墨    上田玄

 

次回の句会は12月にあります。三行表記の俳句は実際に書いてみて思った以上に楽しかったので、次回も参加しようと思います。今回の句会で考えたことを活かした句を書きたいです。

 

長くなりましたが、以上、「LOTUS」の句会の参加記録でした。

 

では、また。

 

「LOTUS」のブログ。今回の句会報告が早くも載っています。他の方の句はこちらからご覧ください。→(http://blog.livedoor.jp/lotus_haiku/

 

石田波郷新人賞について考えたこと

 

こんばんは。

 

昨日、我が家に石田波郷俳句大会 第10回 作品集』が送られてきました。

 

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石田波郷俳句大会というのは、俳句作家・石田波郷(1913〜1969)が胸膜炎のため1948年(35歳)より度々入所し、息を引き取った場所でもある国立東京療養所(現・東京病院)が清瀬市にあることに因み、2009年から清瀬市石田波郷俳句大会実行委員会の主催のもと開催されている大会です。

 

石田波郷俳句大会では、

 

・大賞

清瀬市長賞

・角川『俳句』賞

・新人賞(準賞・大山雅由記念奨励賞)

・ジュニアの部

・一般の部

 

の6つに分けて、それぞれの賞や部門で俳句を募集をしています。

 

石田波郷俳句大会公式サイト→(http://city.kiyose.lg.jp/s055/020/010/070/20140919091641.html

 

石田波郷新人賞公式ブログ→(http://www.ishidahakyo-shinjinsho.com/?m=1

 

私はそのなかの新人賞に今回応募しました。今回はそのことを中心に書いていきます。

 

新人賞の応募要項は

 

・応募資格は30歳以下であること

・未発表句20句に表題を付けて応募すること

 

というものです。

 

また、審査員は甲斐由紀子・岸本尚毅・齋藤朝比古・佐藤郁良の4名です。

 

7月30日が締め切りだったので、6月頃からおよそ1ヶ月半か2ヶ月くらいに渡り、句の推敲を行ったり並び順を整理したりしました。

 

しかし、結果を先に申し上げると、私は新人賞・準賞・大山雅由記念奨励賞のいずれも受賞出来ませんでした。

 

今回の石田波郷新人賞の各賞受賞作は以下の3作品です。

 

新人賞「まだ雪に」岩田奎

準賞「裏うつり」渡辺光

大山雅由記念・奨励賞「月面」日下部太河

 

また、作品集では選考の様子と、審査員による選評も収録されているのですが、それを読んで各賞を決める前段階の一次選考にも通過出来なかったことを知りました。

 

先に書いたように作品集が送られてきたのは昨日ですが、各賞の受賞者をはじめて知ったのは10月5日のことでした。

 

率直に言って、ものすごく悔しかったです。

 

以前、芝不器男俳句新人賞に応募したときの記事でも書きましたが、私は口語体(話し言葉)・現代仮名遣いを基調に俳句を書いています。

 

芝不器男俳句新人賞について書いた記事→(https://ryjkmr1.hatenablog.com/entry/2018/04/15/124205

 

それは、「俳句で口語体や現代仮名遣いを使う分、作者である私の思いも読者に伝わりやすいのではないか」という思いからです。

 

芝不器男俳句新人賞に応募したのは今年の1月中旬でしたが、それから石田波郷新人賞に応募した7月末までの約半年間、私のなかでその思いはさらに強くなっていました。

 

石田波郷新人賞に応募した20句は、そうした口語体も踏まえ、自分が理想とする俳句にベストを尽くしたという自負もありました。

 

それだけに、受賞したいという思いも、受賞出来なかったという悔しさも、芝不器男俳句新人賞のときより強かったです。

 

また・・・これは受賞出来なかった悔しさから感じた、冷静な意見ではないかも知れませんが、作品集を読んで石田波郷新人賞は全体として口語体の俳句を軽く見ているような印象を受けました。実際、石田波郷新人賞の各賞の受賞作は、いずれも文語体・旧仮名遣いの作品でした。

 

先に書いたように私は俳句に於ける口語体での表現を重要視していますが、全面的に文語体より口語体のほうが優れているとは思っていません。石田波郷新人賞の受賞作にも良いと思う句はありました。以下、そうした句を受賞作から5句ずつ引いていきます。

 

新人賞「まだ雪に」岩田奎

涅槃会やみなとはゆきのすぐ溶くる

うつし世を雲の流るる茅の輪かな

水羊羹風の谷中のどこか通夜

白式部手鏡は手を映さざる

まだ雪に気づかず起きてくる音か

 

準賞「裏うつり」渡辺光

ストローに関節のある立夏かな

台風一過創刊号のやうに空

溶けるまで漂ふを綿虫といふ

貼る前に糊乾きゆくかみなづき

ポケットにあるはずの鍵鳥帰る

 

大山雅由記念・奨励賞「月面」日下部太河

卒業や傷付け合つて舟と陸

短夜の花瓶あらあらしく光る

つとめてのピアノあかるし水蜜桃

いくばくかひかがみ汚す障子貼り

白鳥を置き去りにする一日かな

 

また、石田波郷新人賞を抜きにしても文語体・旧仮名遣いで書かれた良い句はたくさんあります。私自身も、俳句を書き始めた当初は文語体・旧仮名遣いを使っていました。

 

しかし、そのことを踏まえても、口語体の俳句を軽く見ているような印象は拭えませんでした。

 

それは、各賞の受賞作の何句かに、五七五の韻律や、文語体の格調に甘んじていると思った句があったからです。

 

例えば、

 

新人賞「まだ雪に」のなかの

 

合格を告げて上着の雪払ふ

 

準賞「裏うつり」のなかの

 

東京や団扇をこんなにも貰ひ

 

大山雅由記念・奨励賞「月面」の

 

蝶追つててのひらはつつましき花

 

届かざる手紙さまよふ花野かな

 

これらの句からは、そうした甘えを感じました。

「合格を」の句からは、多少のドラマ性、世界観の広がりがあると思いますが、「東京や」の句からは単なる日常を切り取っただけという印象を受けます。

また、その逆に「蝶追つて」「届かざる」の句からは、いかにも俳句的な美しさを想望していて、現実感が伝わってきませんでした。

 

また、現実感について話を広げると、作品集の冒頭には石田波郷の長男である石田修大による「俳句は生活そのもの」という文章が掲載されています。

やや暴論かも知れませんが、「俳句は生活そのもの」と述べるのであれば、文語体・旧仮名遣いによる俳句を書いた時点で「そのもの」と言い切ることとの乖離が生じていると思います。

 

繰り返すように、私は俳句に於ける口語体での表現を重要視していますが、自分のなかでその根拠となっているのは、宮崎斗士句集『そんな青』(六花書林 2014年)の栞に寄稿されている柳生正名「『おっぱい』という語感」のなかにある文章です。この文章のなかで柳生は、文語体を基調とする自身の俳句と、口語体を基調とする宮崎の俳句の違いについて以下のように述べています。

 

 筆者自身(註・柳生)は文語を基調に作句しており、宮崎との違いがどこから出てくるのか、興味をそそられる。自己分析的に思い当たるのは、自らの文語志向の背景には、俳句を口語に象徴される日常世界と切り離した別世界として立ち上げたい、つまり満たされない日常からの逃避先として俳句世界を位置付けたい、という“厨二病”めいた欲求が存在するようだ。

 「伝統」を標榜する俳人も、建前は日常の常住坐臥や、ありきたりの自然をリアルに詠む立場を強調するが、実際は日常から逃れ出て、例えば「花鳥諷詠」という理念に基づき再構成されたヴァーチャルな空間に遊ぶがごとき句を詠むケースが多くなかろうか。

 

この文章の特に2段落目は、私の「俳句は生活そのもの」という文章への違和感と殆ど同じことについて述べていると思います。

また、「俳句は生活そのもの」を体現している句の一つとして選ばれたのが、「東京や団扇をこんなにも貰ひ」だとすれば、そのことも問題です。

 

今回の石田波郷新人賞で全体的に感じたのは、「自分とは全く違うところで俳句を書いている人がいる」ということです。揶揄等ではなく、率直にそう思いました。また、次回に応募するかどうかは、かなり悩んでいます。

 

最後に、大げさに聞こえるかも知れませんが、今回の新人賞の結果を受けても私はこれからもこの社会で感じたことや考えたことを肉声として俳句に書いていきたいですし、そのために口語体で書いていきたいです。

 

診察記録 2018年10月

 


こんにちは。


10月の初めにブログを更新してから、忙しい日々が続いてなかなか新しい記事を書けていませんでした。


というワケで、1週間前の話ですが、10月3日(水)の埼玉医科大学病院の診察について書いていきます。


まず先生にお話ししたのは、「最近の連続する台風の接近で気圧が低くなり、頭痛や身体のダルさが多く起こるようになっている」ということ。


これについては、神経症の症状としての頭痛や身体のダルさとはまた違うものなので、ストレッチを勧められました。


寝る前に首筋や肩をほぐすと、少しは楽になるそうです。


診察の日から何回か行ってみましたが、確かに行わないよりすっきりと眠れました。


元々身体が硬いので、それを改善するためにもこの寝る前のストレッチは続けていこうと思います。


次にお話ししたのは、睡眠導入剤の量を減らせないか」という相談。

というのも、最近スゴく眠い日が続いています。

これも台風の接近による低気圧が原因かも知れませんが、個人的には睡眠導入剤の量が1回2錠というのが多いためではないかと考えています。つまり、朝起きても薬が身体に残ってしまっていて、眠さが続いているんだと思います。


これについて先生は「確かに、どちらの理由も考えられると思う。それに、不眠から過眠気味になるのは、薬が効いているということ、つまり病気が良くなってきているということなので減らしても良いでしょう。」と仰いました。


ただし、「今回は実際に睡眠導入剤の量を減らすのではなく、前回と同じ1回2錠で睡眠導入剤を処方します。それで、次回までにどのくらい薬が余ったか報告してください。」とも仰いました。


その話を聞いたときは嬉しかったのですが、診察から1週間が過ぎた現在、率直に言って薬の量を減らすことは難しい状況です・・・。

何回か1錠で眠りに就こうと試しましたが、やはり眠れず2錠服んでいます。


まぁ、急に減薬して病気が悪いほうに向かってしまうよりは、現状を維持するほうが良いと前向きに考えるようにします。


先生が「薬を減らしても良いですよ」と仰ってくれたのと同時に、薬を減らすのを急かしてくれないことが救いになっています。


睡眠導入剤抗不安剤も、焦らずとも少しずつ薬を減らしていけたら良いと思います。


最後に仕事の話。以前ブログにも書いたように、9月の初めから最寄りの駅に隣接するショッピングモールの清掃のアルバイトをしています。

 

仕事を始めて約1ヶ月になりますが、いまのところ目立った問題は無く続けられています。


その前に就いていた運送会社の事務の仕事は、始めてから約1ヶ月で人間関係で神経をすり減らした末に仕事に行けなくなり、無断欠勤を何日か続けた結果退職してしまったので、「1ヶ月目立った問題がなく続けられた」ということは自分のなかで1つの達成感があります。


そういうワケで、いまは抗不安剤こそ服んでいるものの、ストレス等が原因の心の不調はほとんどありません。嬉しく思います。


やがて仕事に慣れて、こうした状態がこれからも続いていけたら良いです。


ただ、そうである分、先にも書いた台風の低気圧による身体の不調がもどかしいです。(>_<)

 

まぁ、台風は季節的なものなので、なんとかやり過ごそうと思います・・・( ̄▽ ̄;)


今回はだいたいこんな感じの診察でした。というワケで、処方された薬の量は変わっていません。

 

現在の薬の状況です。

 

抗不安剤 ロラゼパム錠「サワイ」 0.5mg 1日4回

・頓服薬 ロラゼパム錠「サワイ」0.5mg 10回分

・頓服薬レキソタン錠」5mg 10回分

睡眠導入剤 ブロチゾラム錠「サワイ」 0.25mg 1日2回(就寝前)


それから、今回は診察のあとに障害者手帳と障害者年金についての相談をしました。


医師の先生とは別の相談員の方に、自分がいままで疑問に思っていたことを丁寧に説明してもらえました。


このことについては次回の診察とも関係してきそうなので、次回の診察記録でまとめて書こうと思います。

 

 

木村リュウジの日々反省:月野ぽぽな「はつなつの上澄みとして母ねむる」(「海原」第2号)・・

 

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    「海原(KAIGEN)」第2号(2018・10月号、海原発行所)は、「海程全国大会 in 秩父 Final 」と題し、昨年7月に故・金子兜太の故郷秩父で開催された「海程」の最後の全国大会の様子に多くのページを割いている。

全国大会では現「海原」代表の安西篤が

 

    「先生のご逝去を受けての大会、緊張としみじみとしたものを感じる。喪失感から立ち上がるエネルギーを感じる。一月号に『海原』の概要を、二・三月号に理念を載せた。①最短定型という詩形式への愛を、②『俳諧自由』の精神という『海程』の理念を踏襲していく。」

 

    と挨拶した。その後、第1日目の第一次句会をはじめ、3日間のうち句会が3回も行われたというから、既に兜太の残したエネルギーは同人・会友に継承されているのではないかと愚生は考えてしまう。

    また、宮崎斗士はこの全国大会を振り返り「ありがとう、秩父という文章を寄稿している。一部引用したい。

 

    私的には約二十年に渡って、俳句道場をはじめ何度となくお世話になった秩父。俳句道場も終わり、これで一段落かと思うと感慨深い。たくさんの思い出をありがとう、秩父。またふらっと訪ねてみたい、もちろん金子先生ご夫妻のお墓参りを兼ねて。バナナ持参で。

 

    最後に、第一次句会での高点句を以下に挙げてゆきたい。

 

はつなつの上澄みとして母ねむる    月野ぽぽな

田を植えて遠流のごとく青むかな    松本勇二

妻そっくりだなぁ春の舌出し絡繰め    樽谷寛子

閑かさや青葉を軽く噛む感じ    遠山郁好

青田風空きっ腹ほどの帰心です    森    鈴

引力にかすかなる音昼蛍   金子斐子

草刈女水の韻(ひびき)を思慕しつつ    日高    玲

どこまでも荒野少年蚊帳を出て    鳥山由貴子

夏怒濤兜太の一輪車の轍    中野佑海

十薬は福島の使者夜も灯る    野口佐稔

田水湧く畳はみ出す子の手足    佐藤君子

青鮫よ万緑ちょうどいい重さ   茂里美絵

母ひとり男の貌で毛虫焼く    藤田敦子

青鮫の遺伝子どっと走り梅雨    山中葛子

 

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撮影・木村リュウジ    オシロイバナ